横浜家庭裁判所 昭和46年(少)3380号
主文
少年を長崎保護観察所の保護観察に付する。
理由
(非行事実)
少年は
一 (窃盗)C(当時一八歳)外二名と共謀のうえ、昭和四四年三月二四日午後一〇時五〇分頃、横浜市○区○沢××番地先路上におおいて、同所に駐車中の○田○行所有にかかる普通乗用自動車一台(時価約二〇万円相当)及び同車に積載してあつた○田○年所有にかかる自動製氷機一台(時価約二六万円相当)を窃取し
二 (強姦)C、NことD、E(以上いずれも当時一八歳)、F、G、H(以上いずれも当時一六歳)と共謀のうえ、昭和四四年四月一三日午後一一時頃、横浜市○区○○×丁目××番××号横浜○カ○ビ○一階ナイトクラブ「○ン」でゴーゴーを踊つているうちに知り合つた○川○○子、○木○子(いずれも当時一四歳)の両名を強姦しようと企て、同日午後一一時半頃、FとGの両名において、甘言をもつて○川、○木両女を同市○区○○×丁目○番××号先高島埠頭の繋留中の鉄ダルマ船第○○×××まで誘い出し、遅れて同船に少年らとともに到着したNことDにおいて、両女に対し「おまえらここで何しているんだ。ここじやポリがくるといけねえから中に入れ」と声をかけ、しぶる両女を同船後部船室内に入れた後、同船室内の台所から刃渡り約二〇センチメートルの包丁一丁とまな板とを持ち出し、包丁を手で回しながら両女に対し「おまえら黙つて船に入つてきたんだから訴えられてもしようがないんだぞ。七万円持つてくるか、小指を切るか、どうする。ひとりひとりこつちへ来い。」等と申し向け、包丁をまな板の上に突き刺し、更に「兄貴が一時頃帰つてくるが、仲間を三〇人位連れてきて、おまえらはそいつら皆にまわされちやうんだぞ」等と申し向ける等して脅迫し、両女の反抗を抑圧したうえ、Dにおいて、同船室内のベットの上において○川○○子を強いて姦淫し、少年において○木○子を同船室内の押入れ内に押し込み、同女を押えつけてパンテイーをはぎとるなどの暴行を加えて更に同女の反抗を抑圧したうえ、少年、C、Eの順序で、強いて同女を姦淫し
三 (恐喝)昭和四五年九月一七日午前零時頃、同市○区○○○町××番地先路上において、○水○(当時一九歳)外数名と些細なことから口論となり、○水の仲間である○本○出○(当時二八歳)に刃物で切りつけられ、傷害を負わされたことを根にもつて、A(当時二五歳)、B(当時三六歳位)と共謀のうえ、治療費名下に○本○出○らから金員を喝取しようと企て、
(1) 同四六年一月一二日午後零時頃、同市○区○○町×番地喫茶店「○ン」において、A、Bの両名において、前記○水○及び同人の仲間である○山○(当時一九歳)の両名を呼び出したうえ両名に対しこもごも「おまえ達がやつたのか、ただじやおかない、銭ですましてやる」等と申し向けて脅迫しつつ金員を要求し、同人らをして若しこの要求に応じなければ自己もしくは家族の身体、財産に対しいかなる危害を加えられるやも知れぬと畏怖させ、よつて同日午後一時頃から同三時頃までの間に、同所において○水○から現金三万円、○山○から現金五、〇〇〇円の各交付を受けてこれらを喝取し、更にその直後である同日午後三時過頃、連絡を受けて同店に駆けつけた少年をまじえ、少年において更に「おまえらただじやおかない。俺はどんなことをしても、おまえらを俺がされたようにしてやる」等と申し向けて更に金員を要求して脅迫し、前同様○水、○山両名を畏怖させ、よって同日午後三時過項から同日午後四時項までの間に、同所及び同市○区○○町××番地○水○成方において、○水○に対し同年二月初めに二万円を、○山○に対し同年一月一三日に三万円、同年二月初めに二万円を、それぞれ交付する旨約束させ、もつて不法の利益を得
(2) 同月一四日午後一〇時頃、同市○区○○○町××の××喫茶店「○路」において、前記○水○、○山○両名とともに呼びだした同人らの仲間である○村○(当時一九歳)、○井○一(当時二二歳)に対しこもごも「この前のこと知つてんだろう。おまえらどうする。こいつらは五万円払う。払えなければ家へ行つて親から貰う」等と申し向けて金員を要求し、もしこの要求に応じなければ同人ら及びその家族の身体、財産にいかなる危害を加えるやも知れぬ気勢を示して脅迫して同人ら及を畏怖させ、よつて○村○に対し同年一月末日に二万円、二月末日に一万五、〇〇〇円、三月末日に一万五千円の合計五万円を、○井○一に対し同年一月末日に一万円、二月末日に二万円、三月末日に二万円の合計五万円を、それぞれ交付する旨約束させ、もつて不法の利益を得
たものである。
(法令の適用)
一の事実につき刑法二三五条、六〇条。
二の事実につき、いずれも刑法一七七条前段、六〇条。
三の(1)事実につき、いずれも包括して刑法二四九条、六〇条。
三の(2)事実につき、いずれも刑法二四九条二項、六〇条。
(処遇の理由)
一、本件審判に至るまでの経緯
本件各非行事実につき、昭和四六年三月一五日、横浜家庭裁判所が少年に対し特別少年院送致の決定を言渡したところ、これに対し抗告がなされ、抗告裁判所は同年六月二九日付で原決定の処遇を不当としてこれを破棄、差戻した。その理由の大要は、原決定当時少年の非行性が「沈静期に入つた(原文のまま)」と見ることも可能であり、従つて再非行の可能性が極めて高いとすることには疑問の余地がること、共犯者に対する処遇と均衡を失すること、原決定後、表記帰住地において漁業に従事する老父母が少年の引取り方を熱望し、少年においてもその期待に応えようとする意欲が充分に認められること等から、少年に対する在宅処遇の可能性を指摘するところにある。
二、要保護性
そこで当裁判所において更に調査、審判した結果、少年の性格上なお若干の問題点(差戻し後の鑑別結果通知書によれば、少年の知能は新制田中B式第一形式でI・Q=一二一(優域)を示し、順応性良好、活動的であるが反面において、判断は主観的、独善的であり、自己統制力が弱く、周囲の状況次第で短絡的、原始的な行動に走りやすく、ために周囲との摩擦を生じやすいことなどが認められる)が存すること、また表記帰住地における今後の生活についても、未だその具体的な方針(例えば職種の選択)が確立されていないことなどが認められる。かような少年の性格、環境ならびに本件各非行の態様に鑑み、相当期間保護観察に付することが少年の健全な育成を期するため必要であると思料するので、少年法二四条一項一号、少年審判規則三七条一項を適用して主文のとおり決定する。
(裁判官 藤戸憲二)